②遺産相続の手続き(遺産分割・相続放棄)

目次

②遺産相続の手続き(遺産分割・相続放棄)

1 遺産の分け方を決めましょう(遺産分割協議)

・遺産分割協議って?~相続人全員による話し合い~

・遺産は何もいらない場合~相続放棄するべき?~

・遺産分割協議の結果を書面にする~遺産分割協議書~

3 相続放棄

・相続放棄の手続き

・あまり利用されない限定承認とは


遺産の分け方を決めましょう(遺産分割協議)


遺産分割協議って?~相続人全員による話し合い~

遺産分割協議とは、相続人と相続財産の全容が明らかになった後、どの遺産を誰が譲り受けるのかを相続人全員で決定することを言います。相続人全員の合意による遺産分割協議によって、民法が定める「法定相続分」とは異なる割合での分け方も可能となります。

遺産分割協議は、相続人の全員で行う必要があり、一部の相続人のみで行われた遺産分割協議は無効となりますので、①のステップ1で説明した相続人を確定させるための戸籍の調査がとても重要となります。

遺産は何もいらない場合~相続放棄するべき?~

相続人みんなで話し合った結果、一部の相続人について「遺産は受け取らない。」と合意する場合もあります。この「何もいらないですよ」と合意することそのものを「相続放棄をする」ことと思われている方も少なくありません。

「相続放棄」とは、亡くなった方に借金などのマイナス財産が多く、相続人がそれを引き継ぐのを避けるために家庭裁判所へ申し立てをして行う手続きのことを指し、相続放棄が家庭裁判所に受理されると、相続放棄をした方ははじめから相続人ではなかったことになります。相続人ではないという事は、プラスもマイナスも一切の財産を承継しませんという事です。

この点、相続人同士での合意のみで「遺産は放棄します。」という話し合いをしただけでは、相続放棄とは言えず、マイナスの財産については遺産を受け取らない方も責任を免れることはできません。

マイナスの財産がない場合や、遺産を受け取る相続人が負債の精算も適切に処理する場合など、マイナスの財産を引き継がなくてよい場合には、家庭裁判所への相続放棄手続きまでする必要はないケースも多くあります。

遺産分割協議の結果を書面にする~遺産分割協議書~

遺産分割の話し合いが済んだら、実際に役所や金融機関等に相続の手続きを取る際に必要となる「遺産分割協議書」を作成します。

様式は特に決まっていませんが、遺産分割の対象となる財産について具体的に記載し、その分割の方法を示したうえで、相続人全員が署名し実印を押印、印鑑証明書を遺産分割協議書に添付することによって遺産分割協議書は作成されます。

厳密には「遺産」に該当しないものであっても、相続人の間でされた重要な決定事項については遺産分割協議書に盛り込まれることもあります。また、作られた遺産分割協議書が登記や税務など、使われる目的によって、より詳細に記載をすべき事項がある場合もあります。


2.遺産の分け方で揉めてしまったら


遺産分割調停の申立

遺産の分け方について、話し合いを試みたものの、相続人それぞれの立場の違いから話の折り合いがつかず、もめごとになってしまう場合もあります。

相続人同士だけでの話し合いが難しい場合であっても、遺産分割協議が整わなければ遺産の相続手続きは進めることができませんので、このようの場合には家庭裁判所に「遺産分割調停を申立てるという選択肢もあります。

「調停」という言葉は聞いたことがあると思います。具体的にどのような手続きかというと、相続人同士の話し合いに裁判官と調停委員という第三者が参加し、全員と意見の交換をしながら合意に向けた話し合いを行うための手続きのことを言います。

裁判とは異なり、裁判所から一方的に決定を下されるという事はありませんが、調停でも合意することができなければ、一定の証拠資料などから裁判官による判断が下される「審判」の手続きに進むこととなります。


3.相続放棄


相続放棄の手続き

ここまで、遺産があることを前提として「どのように分けましょうか」というお話をしてきましたが、相続の場面にはマイナスの財産が大きく、相続したくないというケースも多々あります。

遺産は一切いらない場合に相続放棄すべきか?といったところでも少し説明しましたが、マイナスの遺産は家庭裁判所に対して相続放棄の申述を行い、受理されなければ免れることはできません。

相続放棄の申述は、原則として「相続の発生を知った時から3か月以内」と期限が定められており、この間に相続放棄の申述をしなければ、相続することを承認したこととされます。(法定単純承認と言います)

そのほか、遺産をすでに処分してしまった場合なども、相続放棄はせず遺産を引き継ぐ意思があるものとされますので、遺産の中にマイナスの財産が多くあるような場合には、遺産に手を付けることは控えるようにするのが賢明であるといえます。

相続放棄の詳細についてさらに知りたい方は、当事務所のサービス紹介のページにて掲載しておりますのでこちらもご確認ください。

あまり利用されない限定承認とは

遺産の中にマイナスの財産がある場合でも、プラスの財産もそれなりにあり、最終的にプラスになるかマイナスになるか…といったケースもあります。

このような場合に選択される手続きとして、「限定承認」という手続きがあります。

これはどのような手続きか簡単にいうと「マイナスの遺産のほうが多い場合でも、プラスの遺産の範囲でのみ、支払う責任を負いますよ」という手続きです。

とても都合よく聞こえますので、相続放棄を迷われている方全員がこの手続きをとるのでは?と思われがちなのですが相続放棄に比べて非常に手続きが煩雑であり、選択するために注意を要するポイントも多いため実際に利用される方はごく少数となっています。(全国の相続放棄の件数が年間十数万件であるのに対し、限定承認は数百件にとどまります)