不動産登記を自分でやろうとお考え方!メリットとデメリットをお伝えします!

こんにちは。所長の吉田です。

 

日常、司法書士のメイン業務である登記業務に携わっていると、

登記は自分でやりたい。といったお客様にお会いすることもございます。

 

今回は、ご相談にいらっしゃるお客様のニーズのうち、「自分でやりたいんです!」

といった希望について、お話いたします。

 

「登記を自分で」とお考えの方の、目的や理由は主に

・登記は自分でやるのが当たり前と聞いた。

・登記のやり方は法務局に行けば親切に教えてくれると聞いた。

・登記を自分でやれば、費用が大幅に節約できる。

などといったことが挙げられます。

現在、この記事をお読みの方はこのいずれかに該当しますでしょうか?

 

する方もしない方も、ご自身で登記をお考えの場合には

この先のお話が少しでも参考になればと思います。


登記をご自身で行おうとする場合の、メリットとデメリットは以下のような点があげられます。

メリット

・司法書士に支払う手数料がかからない。

 

デメリット

・登記申請に慣れていない場合には、手続を一から調べる必要がある。

・書類の作成をすべて自分で行う必要がある。

・登記申請につき、不明な点がある場合には法務局へ相談に行く必要がある。(1回~複数回)

・登記申請に不備がある場合、自ら法務局へ書類を直しに行く必要がある。

・上記のことから、それなりの時間と労力を要する。

・重要な取引に関してはリスクがある。

 


いかがでしょうか。メリットとしては、司法書士手数料が浮くこと以外には思いつきませんでした。

 

デメリットについてですが、

登記は「申請書」に様々な「添付書面」を添えて法務局へ申請することになります。

例えば千歳市から苫小牧市に引っ越したので「住所変更の登記」をする。といった場合には

登記されている千歳市の住所から、今住んでいる苫小牧市の住所までの変遷を証明できる

住民票や戸籍の附票といった書類が必要になります。

 

これだけ聞くと、「なんだそんなものか」となるのですが、ケースによってはさらに必要になる

書類が増えることもあります。

 

例えば、登記されている住所から何度も引越しを繰り返している場合には、住民票と戸籍の附票をとっても登記簿の住所とつながらないことも少なくありません。この場合にはさらに住所の繋がりを証明するため、除かれた住民票や除かれた戸籍の附票、不在住・不在籍証明・時には不動産の権利証が必要になったりもします。

 

そのほか、結婚によって名前が変更になっている場合には戸籍謄本(抄本)が必要となったり、通常は記載がなくて良い本籍の記載までされている住民票が必要になります。

 

上記のご説明は、「自分が引越して住所が変わった」というだけの登記の話です。

そんなシンプルな登記ですらこのバリエーションですから、相手のある話(例えば売買・贈与・財産分与・抵当権に関する登記など)では、おそらく結構大変だろうなぁと想像がつくのではないでしょうか。

(いろんなパターンを細かく書くのはなかなか大変なのでここには書きませんが…)

 

細かな書類の準備を一から自分でやる必要がある。というのはやはり大きなデメリットと言えるでしょう。

 

ちょっとした簡単な登記をご自身で行った経験がある人に限って「登記なんて自分でできるよ!」なんて甘いことを気軽に言うものです。

鵜呑みにしてしまい、大変な目に合われないよう、自分でできそうかどうかも含めて司法書士や法務局に相談してみるのが賢明ではないでしょうか。


そうはいっても、やはり司法書士に支払う費用が・・・

 

ええ、そうですよね。専門家に依頼すると、やはりそれなりに費用は掛かります。

先に挙げたデメリットと、司法書士費用を支出するのとはトレードオフの関係にあります。

 

なので、時間と労力をかけてでもと思われている方は、デメリットの最後に挙げた

「重要な取引に関してのリスク」があるかどうか、というところを判断基準にするのが良いかと思います。

 

リスクとはどのようなことを言うのかというと、

登記が予定通り完了しないと、取引に関係する多くの方に迷惑や不利益が生じる可能性があるというリスクのことを言います。

 

不動産売買による「所有権の移転登記」関しては、登記が完了しなければ、不動産の所有権の移転を公に示すこと(私が所有者になりました、ということ)ができませんので、無断での転売や差し押さえ等によって、買主が所有権を失う不利益が生じる恐れがあります。

 

銀行がお金を融資する代わりに、不動産に抵当権を設定する「抵当権の設定登記」の場合などは、抵当権の設定登記が失敗すると、銀行はお金を貸したにもかかわらず、担保を確保できていない状況に陥ってしまいます。

 

つまり、司法書士が登記をする場合というのは、単に依頼人の面倒を代わって行うだけではなく、取引の安全や円滑のためであることが多いということです。

 

逆に言えば、万が一登記申請に不備があったとしても、自分だけでもう一度やり直せば済むようなケースなど、登記が失敗した場合にどんな不利益を被っても、すべて自己責任で済む範囲で行うのであればご自身での申請も止めません。といったところでしょうか。 


 

さて、簡単ではありますが、「自分で登記をしたい!」といったことについてお話させていただきましたがいかがでしたでしょうか。

 

以上の話を簡単にまとめるとこうなります。

「登記を自分ですることで費用が浮く」というのは確かにその通りです。

ご自身で登記をしようとお考えの場合には、やろうとしている「登記の難易度」や「必要な労力」はもちろん、

「失敗のリスク」とも比較してご検討ください。


おわりに

 

今回は「登記を自分でやりたい!」というご希望に対してのお話しさせていただきました。

吉田さんは司法書士だから、自分でできるような簡単な案件も難しく説明するんじゃないの…?と思われるかもしれません。

司法書士の業務は、頑張っている瞬間はほとんどお客様にはお見せすることはありませんし、カンペキに仕事をすると何事もなくスムーズに手続きが終わりますので、「楽そうなのに高額」と思われる方がおられるのも無理はないかと思います。

 

ですが、今回ご説明したように、簡単な案件も、間違いなくやろうと思えばどうしてもある程度労力がかかります。初めて登記をされる方であればなおさらです。

日本の行政システムはオンライン・IT化の一途ですが、登記についてはいまだに紙ベースで行うこともたくさんあります。登記内容自体はシンプルでも、複雑な問題を含むことも珍しくはありません。

 

労力と司法書士費用、リスク等のバランスを考慮したうえで、ご自身で手続きを希望される方には「自分でできますよ。」と遠慮なくお伝えするようにしております。お気軽にご相談いただければと思います。